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飛んだとばっちり:親不孝者のフクロウ

  • 執筆者の写真: 弓長金参
    弓長金参
  • 6月21日
  • 読了時間: 3分

国によって動物に対するイメージは違います。ある国にとってはポジティブなイメージの動物も、別の国ではネガティブなイメージを持つことがよくあります。

フクロウもそのひとつです。

親不孝者のフクロウ
親不孝者のフクロウ

日本では、どんぐり眼や丸みを帯びたボディでかわいらしいイメージがありますが、中国でフクロウは「親不孝」の代名詞、不吉なイメージの縁起の悪い動物です。


フクロウはどうして中国人に嫌われるのでしょうか?

これは古代中国人が、フクロウの子育て生態を勘違いしたことに起因するとの説があります。

古代中国では、フクロウの雛が成長すると、養い親である母鳥を食い殺すと信じられました。

紀元前6世紀ごろの春秋時代からそのネガティブなイメージが定着しだし、紀元前後の漢王朝時代では完全に「親不孝」のイメージが固まります。

漢王朝の時代、親不孝者への戒めのため、毎年、夏至にフクロウを殺したり、5月5日にフクロウ汁「梟羹(きょうこう)」を振舞う風習もありました。

フクロウにとって飛んだ濡れ衣ですが、この風習は夏の風物詩として近世まで続きます。

二千年以上も中国人から毛嫌いされるフクロウですが、一方で墓にフクロウをかたどった埴輪「鴞俑(きょうよう)」もよく埋葬されました。鴞はフクロウのことです。

イメージの悪さから翻って、墓荒らしの防止や厄除けのニュアンスが加味されて埋葬されました。


実際にフクロウは、本当に母鳥を食べるのでしょうか? もちろん食べません。

フクロウの母鳥は、生まれたばかりの雛を巣で養います。ある程度まで雛が育つと、母鳥は巣から離れます。

しかし、その生態を見た古代の中国人が、“いつの間にか母鳥がいなくなった。きっとこの雛が母鳥を食べたに違いない”と考えたのでしょう。

西洋でフクロウは大きな目でものごとをしっかりと見ることから、「知恵の象徴」と崇められたのと対照的です。

フクロウのイメージ悪化に伴い、ずる賢い英雄を指して「梟雄(きょうゆう)」、さらし首にする一罰百戒「梟首示衆(きょうしゅししゅう)」と派生語も生まれます。


鳥の一種、「斑鳩(いかるが)」もある善意がきっかけで、ひどい目に遭いました。

仏教には「放生会(ほうじょうえ)」という動物を放して功徳を積む風習があります。仏教伝来以前の古代中国も、同様に動物を放って徳を積む「放生」の風習がありました。


紀元前5世紀の春秋時代、晋(しん)に趙簡子(ちょうかんし)という大臣がいました。簡子は善意から毎年正月に斑鳩を放生しており、自身も善行を積んでいるとよころんでいました。

しかし、見かねたある者が簡子に忠告をします。


「あなたはなんて残酷な人だ。もうそのような残酷なことはしないでください」と。


簡子はその者に事情を聞き、やっと己の“過ち”に気づきました。

簡子が放生のために斑鳩を高値で買い取ったため、皆が競って斑鳩を捕獲しようとします。実はその過程でたくさんの斑鳩が死んでしまっていたのです。

結果として簡子の行為は、斑鳩を大量に死なす「悪行」になっていました。

この「献鳩放生(けんきゅうほうじょう)」の故事は、偽善行為や、たとえ悪意がなくても結果として悪い結果になるものごとのたとえとして伝わっています。

現代でも環境保護など、たとえきっかけが善意であっても、結果として悪影響が出てしまうことが多々ありますから、考えさせられます。

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