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翻訳者の市場価値––単価交渉は積極的に––

  • 執筆者の写真: 弓長金参
    弓長金参
  • 2023年5月13日
  • 読了時間: 2分

更新日:2023年6月21日

 芸能人やスポーツ選手ほどではありませんが、翻訳者の年収はピンキリです。

 年収に直結するのが翻訳の「単価」です。

一文字〇円”と決めて翻訳会社と契約し、“単価×文字数”が翻訳料の基準となります。

 注意すべき点は、例えば英語の原稿を日本語に訳したとき、“原稿”か、“訳文である日本語”かで文字数は違ってきます。

 一般的に日本語に訳すと、原稿の外国語よりも文字数が多くなります。

 英語の場合は、日本語訳の文字数が2倍ほどになります。中国語であれば、日本語訳の文字数は多くて1.5倍ほどです。

 従って日本語の文字数にした方が、翻訳料は高くなりますが、残念ながら多くの場合、文字数は原稿を基準としています。

 翻訳者のさじ加減で訳文の文字数は変わりますから、意図的に文字数を増やそうと、冗長な訳文になってしまうなどの弊害があるからです。

 駆け出しのころは実績を積むことを優先し、翻訳会社の言い値で単価を決めることが多いのですが、あるていど仕事をこなすと、これくらいはもらわないと割に合わないと、自分の単価が見えてきます。

 今の単価が安いと感じたら、遠慮せず翻訳会社と「単価交渉」をしてください。

 もちろんその単価に見合う「実績」や、より一層の「品質」を約束するのが前提です。


 反面、リスクもあります。

 私たちが別の店で同じていどの品物を見れば、自然とより安い店で買いものをします。

 単価が高くなれば、より安い翻訳者へ仕事が流れ、仕事が減る可能性があります。自分の翻訳成果物が単価に見合っているか、客観視する必要があります。

 それを踏まえても、単価交渉を躊躇(ちゅうちょ)しないでください。

 単価交渉が上手くいくか分かりませんが、それにより翻訳会社の心証が悪くなり、パッタリと仕事が来なくなることはありません。

 仮にそのような翻訳会社であれば、むしろ今後の取り引きを止めた方がよいと思います。

 それ以外に単価を上げる方法は、新規翻訳会社を開拓することです。

 新たな翻訳会社と契約を結ぶとき、希望の単価で仕事を請け負うようにし、実質、翻訳単価を上げます。

 翻訳会社はせっかく実力のある翻訳者を、競合他社に取られたくありません。希望にそえるか分からないが、他社へ移るくらいなら単価交渉をしてほしいと考えているのです。

 勇気が要りますが、せっかく何年も実績を積んだ翻訳会社があるなら、ダメ元の気持で積極的に単価交渉をしてください。それも立派な仕事のひとつです。

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