珍しい漢字の発掘は、くたびれもうけ––「死語」の検索––
- 弓長金参
- 2023年5月13日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年6月6日
翻訳で使う漢字は、基本的に政府が定める「常用漢字」です。
数十年前や戦前の小説・新聞などを見ればお分かりのとおり、以前使っていた漢字は、概(おおむ)ね今より画数の多い漢字になっています。これを「旧字体」といい、翻訳ではあまり使いません。

漢字の本場中国は当然日本よりも漢字が多く、日本では普段使わないものが数多あります。さらにその中国ですら現在は使わない、いわゆる「死語」も多く、中国語翻訳者泣かせです。
漢字変換しても、なかなか出てこない漢字検索はどうするのでしょうか。
よく使うのがGoogleなどの検索らんに、「部首」や「偏」と、それに付随する漢字を入れて検索する方法です。

例えば、「菘」を検索したければ、“草かんむり”プラス“松”と入力します。
これでも検索できない場合は、「手書き中国簡体字入力」などでマウスを動かし、手書きで漢字を書き、それをコンピューターに認識させ、該当する漢字を検出します。
そのコンピューターに、認識されるとは限らないのが「死語」です。
以前、「緫」という日本語はもちろん、中国語でも普段使わない漢字が、中国語の原稿にあり、色いろな検索方法を試してみました。

Googleに「糸へん」プラス「葱」と入力すれば出てきますが、手書き中国簡体字入力で書いた場合は、なかなか検出されません。
また、原稿の中国語をコピーし、Googleの検索らんに貼り付けた場合、常用外の中国語ゆえか、コピーした「緫」をコンピューターが認識できず、文字化けすることがあります。

次に試したのが、中国語の原稿に記載してあった「緫」を使った漢詩の検索です。
「緫」は紀元3世紀の文人・潘岳(はんがく)が書いた詩「籍田賦(せきでんふ)」に出てくる漢字です。この詩を検索すると、日本語の「緫」にお目にかかれました。
このように日本語はもとより、現代中国語で普段使わない死語を探し出すのは、なかなか大変なことです。