座布団は何枚でしょう? ––「ゲーム翻訳」で必要不可欠なボキャブラ力––
- 弓長金参
- 2023年5月13日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年6月4日
“翻訳は語学力さえあればOK”、と思われがちですがワードセンスも必要です。
外国語の原稿を意味どおりに訳せばOKの場合もありますが、本来の意味は捨て、ゴッソリ意訳が必要な場合もあります。
その代表がゲーム翻訳です。

お馴染みの三国志シリーズのゲームを始め、昨今、中国発のゲームを日本語へ翻訳し、日本人ユーザーに提供することが増えています。これを「ローカライズ」と言います。
中国語のアイテム名などを日本語に翻訳するのですが、そのまま訳すとNGな場合が多くあります。
このときゲームの世界観やストーリー展開を踏まえ、意訳するセンスが問われます。

例えば剣のアイテムがあり、中国語の名称を“天下無双”とします。
このレベルであれば、日本語もそのまま“天下無双”で支障はないと思います。
では“皇家礼砲”はどうでしょう。
そのまま“皇家の礼砲”でも分かりますが、ゲームによってはカタカナで、“エンペラー・バズーカー”もありだと思います。さらに意訳して、“天子の稲妻(いなずま)”などはどうでしょう。

このようにゲーム翻訳に正解はありません。
ゲームの世界観やアイテムを使用する場面によって、幾通りも訳せます。
語学力そのものよりも、その場面にフィットする「ワードセンス」が強く求められます。要は大喜利です。正解はありません。
普段ゲームをプレイしないと、よいワードが思いつきません。
ゲーム翻訳で活躍する翻訳者はゲーマーが多く、普段ゲームをしていないと、原稿の内容自体は簡単でもワードが思いつかず、難度が高くなります。