マコンデ美術館(三重県伊勢市)
- 弓長金参
- 2023年5月13日
- 読了時間: 2分
更新日:2025年7月7日
アフリカ大陸の南東に位置するタンザニア連合共和国のマコンデ高原に住む「マコンデ族」の彫刻をコレクションしているのが、このマコンデ美術館です。

農業を主体とするマコンデ族は、古来より農作業後や農閑期に、彫刻をする風習があります。
彫刻のテーマはマコンデ族自身や、現地に伝わる悪霊・シェタニ、身近な野生動物などです。

野生動物の作品群
マコンデ彫刻はデフォルメした似顔絵のような、カリカチュア(誇張した表現方法)な作風が特徴です。
アフリカ大陸ゆえに多種多様な野生動物がメインかと思えば、地元の悪霊・シェタニの彫刻が数多あります。

悪霊シェタニ像
かつて、マコンデ族の集落には呪術師がいました。
病気やケガ、出産などで祈祷し、悪霊を追い払ったことから、マコンデ族にとってシェタニは身近な存在でした。

呪術用などの仮面群
シェタニは悪さもしますが、気まぐれで人を助けるそうです。
そういった点が単なる悪霊として恐れるのではなく、マコンデ族に親しみを持たれるのかもしれません。
これらの彫刻にはアフリカ黒檀(こくたん)を用います。
硬質の木材で、重厚に黒光りするのが特徴です。
1961年にタンガニーカ共和国として独立し、1964年、ザンジバル人民共和国と合併し、現在のタンザニア連合共和国となる前、この地は長くドイツやイギリスの植民地でした。

高級木材のアフリカ黒檀は、植民地を支配する宗主国に取られたため、当時の作品は別の木材を代用しています。
作品の材料からも、タンザニア連合共和国の歴史の一端を垣間見ることができます。

同美術館には、同国出身の画家・エドワルド・サイディ・ティンガティンガの作品も展示しています。
遠近法や陰影法、人体比率を無視し、ベタ塗りしたティンガティンガの作品は、一見稚拙ながらも味わい深く、日本の浮世絵を想起させてくれます。
ティンガティンガの作風を受け継いだ同地の後輩画家の作品も、併せて多数展示しています。

我流で彫刻したり描いた作品は、当初は単なる現地のお土産ていどのものでしたが、1970年代ごろから欧米人に芸術作品と認知され、現在では世界の美術界で評価されています。
日本の箸やお椀など、アーティストではなく職人が作る身近な生活用品が、「民芸品」や「工芸品」という名の芸術作品として、評価されている点と類似します。


