カタカナ変換は万能?––中国語をカタカナ表記するときの注意点––
- 弓長金参
- 2023年5月13日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年6月21日
中国語の発音は「ピンイン表記」で表わします。
それを「カタカナ表記」で漢字にルビをふるとき、注意点があります。

「Violin」を“ヴァイオリン”とするか“バイオリン”とするか、英語でもカタカナ表記が異なります。
英語の原音を重視するなら“ヴァイオリン”ですが、日本人読者の読みやすさを考慮すれば、“バイオリン”の表記が適切でしょう。
同様に中国語のピンイン表記をカタカナ表記に変換するとき、原音に忠実にするか、日本語として読みやすい語感にするか、悩ましいところです。
出版翻訳に限らず、すべての翻訳に関し、つねに読者の読みやすさの目線は忘れないでください。それも考慮し、適切な日本語を紡ぎ出すのです。

一番手っ取り早いのが、辞書の巻末や見返しに記載の「ピンイン一覧表記」に則(のっと)り、カタカナ表記をする方法です。
ピンインが発音できる方であれば、やや原音と比べ、違和感があると思いますが、これで表記の統一が図れます。
仮になにか言われても「『〇〇辞書』の記載に則った」と言えば、翻訳者の責任を回避することもできます。

困るのが“標準中国語(北京語)”ではなく、“台湾の方言”や“広東語”のカタカナ表記を求められたときです。
台湾の方言や広東語も発音できればそれで万事OKですが、できなければネット検索に頼ります。
ある程度有名な人名や会社名、商品名などの固有名詞であれば、すぐにカタカナ表記も併記されて検索できます。悩ましいことに、カタカナ表記が統一していないときもあります。
その場合はいくつかサイトを当たり、一番普遍的に使っているカタカナ表記を選びます。Google検索画面上部に記載の“About〇〇,〇〇〇results”を見て、「検索数」が多い表記を選ぶのも判断基準のひとつです。
検索できない場合は、“個々の漢字”+“閩(びん)語or広東語”などでキーワード検索をすると、かなりの確率で台湾の方言や広東語のアルファベット表記が出てきますし、その漢字の現地の発音が聞ける場合も多くあります。
それらの語感も考慮し、それに合致するカタカナ表記を考えます。