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お口にチャック:守秘義務には石橋を叩こう

  • 執筆者の写真: 弓長金参
    弓長金参
  • 8月26日
  • 読了時間: 2分

 出版翻訳者の楽しみでもあり誇りでもあるのが、日本でだれよりも先にその本が読めることです。

 よろこびのあまり、「今、○○著の『△△』を翻訳しています。がんばるぞ!」とSNSでつぶやきたくなります。

 気持ちはすごくわかりますが、絶対にしてはいけません。取引先との「守秘義務」に抵触をするからです。出版社が公式に発表をするまで口外をしてはいけません。

「今、アメリカのベストセラー小説を翻訳しています」など、内容をぼかした発信はグレーゾーンですが、よくはありませんので止めることをお勧めします。映画やドラマの字幕翻訳も同様で、公式に発表されるまで口をつぐみましょう。

お口にチャック

 公式な公開時に翻訳者名も公開されます。翻訳者にとってプライスレスのよろこびを感じる瞬間です。

 このとき初めてそれまで溜めていた「これは私が翻訳をしたんだぞ!」という気持ちを、SNSにぶつけてください。

 また、翻訳をするにあたり、デジタル媒体しかり紙媒体しかり関連資料をいただきます。デジタル媒体であれば翻訳完了後にPCからかんぜんに消去し、紙媒体であればシュレッダーにかけて廃棄してください。

 翻訳後の後始末も責任を持って処理をする。この姿勢が取引先との信頼関係を育むのです。

 因みに企業資料などを翻訳する実務翻訳では、基本的に「公式な公開」はありません。SNSで発信をしたいときは「某電機メーカーの家電カタログをやっと翻訳し終えました」など、企業名や商品名、具体的な内容などは控えた上で発信をした方が無難です。

信頼を失うのは一瞬。取り戻すのは一生」。些細なことでかけがえのないキャリアを潰さないように気をつけましょう。

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