頭から順に訳しても大丈夫?––外国語の文構造を知ろう––
- 弓長金参
- 2023年5月13日
- 読了時間: 2分
更新日:2025年8月22日
下記英語短文をご覧ください。
「 I like this TV program. 」「 I didn’t have an umbrella. 」。
これをオーソドックスに訳すと、「私はこのテレビ番組が好きです」「私は傘を持っていません」になります。
英語は文頭付近で“like”“didn’t have”と意思表示をするのに対し、日本語は“好きです”“持っていません”と、文末付近で表現する傾向が強い言語です。

このように日本語と英語は、そもそも文構造が違います。
中国語も英語に類似し、文頭付近で意思表示をします。
従って、単語やセンテンスごとに順次訳出する「逐語訳(ちくごやく)」では、意味は分かるが不自然な日本語になる場合が多いのです。
これを滑らかな日本語にするため、原紙の文章を後ろから訳出する場合があります。
これを「訳し上げ」と言います。因みに文頭から訳す場合は「訳し下げ」と言います。

原紙の句読点どおりに訳文も区切ると、日本語として読み辛くなることも多々あります。
また、原紙が何行にも渡り、延々と途切れずに続くこともあります。こういうときは適宜句読点を入れ、読者が読みやすいように工夫します。
この原紙をいじる「センス」は、語学力とは別の「日本語の文章力」に依ります。

“外国語文日訳”と“翻訳文”は違うとよく言われます。
単に語学ができるだけでは、翻訳者になれません。
翻訳学校で訳文を添削してもらう、自身の訳文とベテラン翻訳者の既訳を見比べるなどして、“意訳センス”を磨く必要があります。
試験では満点の我流訳では、いつまで経っても“翻訳文”になりません。


