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4000年来の大発見:血液型がわかるまで

  • 執筆者の写真: 弓長金参
    弓長金参
  • 2022年5月4日
  • 読了時間: 3分

更新日:4月29日

コロンブスの卵」という言葉があります。

 分かってしまえば簡単、でもその“簡単なことに着目する難しさ”を表わした言葉です。

 そんな長い間、簡単、でもだれも着目しなかったものに「血液型」があります。

 人類は経験上出血多量により、人や動物が死ぬことを知っています。

 血を補充する「輸血」は、古代エジプトやローマ時代からありました。ただし当時は人や動物の血を飲み、それで血が補充できると考えました。

血液型

 血管に血を直接注入する方法は、17世紀のフランスで行われました。そのとき入れたのは羊の血です。当然患者は死亡、以降危険な治療として輸血は禁止されました。

 19世紀に入ると、再び輸血が行われます。

 当時、まだ血液型の概念はありません。

 血液型が違えば拒絶反応を起こし、患者は死亡します。実際、輸血の治療方法は成功率が低く、放置すれば出血多量で死亡する患者に対する、最後の治療でした。

輸血

 そんな輸血治療に大きな転機が訪れます。

 19世紀末のオーストリアの医者「ラントシュタイナー」が、患者に輸血をします。

 助かる患者もいましたが、別の患者は数日後に拒絶反応を起こし死亡。輸血治療では当たり前のことと、大勢の人間が気にも留めなかったことに、ラントシュタイナーは注目しました。

(助かった患者と助からなかった患者は、『』が違ったのか……)

血液型の発見

 当時は機械設備、実験器具、化学薬品などあらゆるものが進歩し、物事を科学的に検証する風潮が高まりました。

 そんな時代背景も後押ししたのでしょう。ラントシュタイナーはある人の血液と別の人の血液を混ぜると、赤血球が固まることに気づきます。


 1900年、固まる原因を調べ、人により血液中の「抗体成分」が違うことを発見します。

 A抗体の成分が入っているものを「A型」、B抗体は「B型」、AとB抗体両方入っているものを「AB型」、何も入っていないものを「0(ゼロ)型」と、人には4種類の血液型があることを発見しました。このなかの0(ゼロ)型は、のちに「O(オー)型」の呼称で広まります。

血液型の抗体成分

 同じ血液型同士であれば、赤血球が固まらないことを発見し、輸血は安全な治療方法へと生まれ変わりました。

 血液型といえば「性格・相性占い」が思い浮かびます。

 血液型と性格との関連性は、20世紀のヨーロッパで、多くの医者や心理学者が調査しました。結論は関連性なしです。

血液型占い

 日本でも20世紀初頭に当時の陸軍が注目し、軍医が調査しました。

 当時の日本は徴兵制を採用しています。兵士を訓練するには、時間もコストもかかります。

兵士に向く血液型が分かり、その血液型の若者を徴兵すれば効率がよい”、と考えたのです。調査の結果、「兵士に向くのはB型』」と出ました。“B型の人間は勇猛果敢である”、との調査結果に基づいています。


 しかし再度検証した結果、間違いであることが判明します。

血液型占い

 現在の「よく当たる占い」と同様に、誰もが当てはまる“抽象ワード”と、“合致する行動・発言”を結びつけ、当たったと感じる「バーナム効果」の結論だからです。

 因みに中国語でコロンブスの卵は、“コロンブスの卵立て”と言います。

 西洋が語源のため日本語と同じですが、本場の西洋でコロンブスの卵はあまり通じません。

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